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消化器一般外科

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消化器一般外科

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消化器一般外科

消化器一般外科は、がん診療連携拠点病院としての淡路医療センターでのがん治療の牽引役、そして当院の売りの一つである救急医療において重要な役割を担っています。つまり、“がん”と“救急”が二本柱で、加えて淡路島に多い胆石治療にもこだわりを持って取り組んでいます。もちろん、皆さんがよくご存じの虫垂炎(もうちょう)、ヘルニア(だっちょ)や痔核(いぼじ)の治療も行っています。

高齢者の割合が年々増加して行く淡路島では、高齢患者の手術後の生活の質(QOL)の低下をいかに防ぐかが外科医にとって大きな課題です。つまり、がんは治ったけれど寝込んでしまったり、ご飯が食べられなくなったりすると、何のために手術を行ったのか分かりません。つまり、手術が無意味なものになってしまいます。したがって、手術による機能の欠損を最小限に抑えることを目標に治療に取り組んでいます。

《がん》手術を中心に抗がん剤治療や内視鏡治療までその守備範囲は広く、ガイドラインに準じた治療を基本に、一方で患者さんの年齢や状態を考えて最適な治療を行うことを常に心がけています。進行したがんでは、まず抗がん剤や放射線治療でがんを小さくしてから手術を行うことで治療成績の向上を図る一方、早期がんに対しては機能温存を重視した手術を積極的に取り入れています。また、胃・大腸では腹腔鏡手術も導入しています。進行胃癌に対する抗癌剤腹腔内投与療法の開発を目的とした臨床研究(高度先進医療)の参加施設としても登録されています。

《救急》一般外科手術の3割が緊急手術です。進行した大腸がんで腸閉塞をおこした患者さん、おなかの血管が動脈硬化で細くなり腸がくさる患者さんも淡路島にはたくさんいます。このような救急領域での手術件数は日本でもトップクラスです。都会の救命救急センターに比較すると外傷症例は少ないものの、各臓器の損傷を修復する基本技術はがんの手術手技の延長です。当院の救急では日頃がんの手術を行っている外科医が救急治療を行うため、質の高い手術の提供が可能です。

部位別のがんの治療方法

がんを中心に代表的な疾患の治療方法を簡単にご説明します。

1.食道癌

治療は主に進行度により決定されます。ただし、同じ進行度でも、患者さんの全身状態や心・肺機能などによって治療が異なる場合があります。
0期は、内視鏡的粘膜切除術、外科療法、レーザー治療が行われます。
I 期は、外科療法、放射線療法と抗がん剤の併用療法、放射線療法(外科手術や抗がん剤が適切でない場合)が行われます。
II 期・ III 期は、外科療法、外科療法と抗がん剤の合併療法、放射線療法と抗がん剤の併用療法、放射線療法(外科手術や抗がん剤が適切でない場合)が行われます。
IV 期は、抗がん剤による化学療法、放射線療法と抗がん剤による化学療法の合併療法、放射線療法(抗がん剤が適切でない場合)、痛みや他の苦痛に対する症状緩和を目的とした治療が行われます。

2.胃癌

早期胃がんのうち、分化型で、粘膜にとどまっていて、がんの部分に潰瘍がなくて、大きさが2cm以内であれば、内視鏡でがんのところを切り取る治療を行います。また、早期胃癌の場合、残せる機能はなるべく残して術後の障害を減らそうとする機能温存手術を積極的に行ったり、従来の大きくお腹を開ける手術ではなく、5~10mmの小さい穴をお腹に開け、そこからカメラと手術器具を挿入して手術する腹腔鏡下手術も施行しています。
外科療法で切除しきれない場合や、再発した場合は抗がん剤の治療や部位によっては放射線治療を行ったり、抗がん剤で腫瘍の縮小を図ったうえで手術を行ったりもしています。なお、当院は高度先進医療に基づくINPACT trial(進行胃癌に対する抗癌剤腹腔内投与療法の開発を目的とした臨床研究)の参加施設です。

3.GIST(消化管間葉系腫瘍)

GISTは腫瘍の大きさによって悪性度が変化する性質を考慮して腫瘍径により治療方針が決定されています。腫瘍径が2cm以下の場合は経過観察、2~5cmの場合は、症状に応じて手術を適応し、腫瘍径が5cm以上の場合は手術を行います。また術前に内視鏡的生検などでGISTと診断されれば大きさにかかわらず手術がすすめられます。切除不能な場合は薬物療法(イマチニブ)が考慮されます。腫瘍径が大きい場合(5cm以上)は開腹手術を行い、比較的小さい場合(5cm未満)は腹腔鏡下手術を行います。GISTは胃癌と異なりリンパ節転移をほぼ認めないため、腫瘍から0.5~1cm離した局所切除を主に行っています。

4.大腸癌

粘膜内癌といわれる非常に軽度な癌は内視鏡的なポリープ切除術で対処します。粘膜内癌は内視鏡的に切除され残存がなければ治療は終了です。
粘膜下層まで浸潤した癌ではその状況により内視鏡的切除ですむ場合もありますが、やはりリンパ節転移を疑った場合は手術的な切除が必要となります。粘膜下層まで浸潤した癌はその平均10%にリンパ節への転移を認めます。リンパ節は内視鏡治療だけでは残してしまうことになりますので、腸を含めて手術的に切除します。この際の手術は腹腔鏡下手術を行います。
進行がんで遠隔転移(肺転移や肝転移など)がない場合は基本的には手術治療が第一選択です。 直腸癌で肛門に近いものはまず、放射線治療+経口抗がん剤をしてから手術をする場合があります(術前放射線化学療法)。この方法により従来は肛門を切除し永久人工肛門としていた直腸癌も場合により肛門が温存できるようになってきました。しかし、いまでも場合により肛門を含めて切除し、永久人工肛門としないと治療できないこともあります。
何らかの理由で手術ができないとき、または患者さんが拒否されたときなどは抗がん剤による化学療法、直腸では更に放射線療法が選択されることもあります。

肝転移、肺転移、局所再発は手術的に切除可能であれば手術が第一選択です。手術で取りきれても完全に治るかどうかわかりませんが、中には完全に治っている方がいます。基本的には状況によって治療法が変わります。

5.肝臓癌

大きく分けて、外科的治療法と非手術的治療法があります。どの治療法を選ぶのかは、腫瘍の大きさおよび数、他臓器への転移の有無、背景肝の機能(肝予備能)および全身状態をチェックして総合的に判断しますが、基本的方針は、画像診断で検出された肝細胞癌をすべて制御することです。
手術は癌を切除して除去する最も確実な方法です。腫瘍が大きく、数が多い場合、切除範囲が広くなります。この切除許容範囲(肝臓を切除しても大丈夫な肝臓の量)は患者さん自身の肝予備能により決定され、肝機能が不良の場合、切除範囲が制限されます。現在、当科では血清ビリルビンの値とインドシアニングリーン(ICG)という検査薬を静脈内投与し、15分後に採血してその停滞率を測定するICG R15の値を参考にして、どれくらい肝臓を安全に切除できるかを決定しています。

非手術的治療にはエタノール注入療法、マイクロウエーブ凝固療法(MCT)、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈塞栓術(TAE)、皮下埋め込み式リザーバー動注化学療法、放射線療法などがあり、これらが単独もしくは併用で施行されます。

6.膵臓癌

膵癌の進行度は4つの段階に分けることができ、治療の大まかな指標として役立ちます。癌が比較的早期に発見され、広がりの少ない場合(ステージI、 II、 III)治療の中心は手術療法です。しかしすでに癌が広がり、手術ができない場合(ステージIV)でも、症状をうまくコントロールして患者さんのQOL(quality of life生活の質)を向上させることに努めています。膵頭部に癌が存在する場合、膵頭部だけでなく、隣接する十二指腸、胃の一部、空腸の一部、胆嚢および胆管を周囲のリンパ節とともに切除する術式、すなわち膵頭十二指腸切除術が行われます。切除範囲が大きく、術式も複雑なため、消化器外科領域ではもっとも大きな手術のひとつで、長時間(約6~8時間)を要します。特に残った膵臓、胆管、胃を再び空腸と吻合し、膵液、胆汁および食物の流れを作り直すには高度の技術が要求されます。腫瘍が膵体部あるいは膵尾部に存在する場合には、膵頭側を残して、膵体尾部・脾切除術という手術を行います。この場合、十二指腸、胆管、胃などを合併切除する必要はありません。また膵の広範囲に癌が存在する場合、膵臓の全摘術が必要となることもあります。この場合、糖尿病が必発で、食欲への影響も大きいため、患者さんのQOLは著しく低下します。膵癌はリンパ節に転移しやすいのみならず、容易に周囲の結合組織や血管周囲の神経に沿って浸潤する特徴を持っています。このため、たとえ進行度(ステージ)が低く十分に取りきれた場合でも、再発率が高いのが特徴です。当院でも、根治的な手術の後に抗がん剤による術後の補助化学療法を行っています。   抗癌剤治療は膵癌の治療で重要な位置を占めます。当院では、患者さんのQOLを保ち、日常・社会生活への妨げを最小限にするために、外来化学療法を導入しています。

7.胆道癌

胆管がんに対する治療の第一選択は手術です。ただし、全身が衰弱しきっていたり、心臓、肺、脳などに大きな余病があると手術は受けられないことがあります。また病気が進行し過ぎていると手術の効果がないといわれ,このような場合は抗がん剤、放射線治療を選択します。肝外胆管は肝臓や膵臓、十二指腸の間にある臓器であり、また周囲には門脈や肝動脈という重要な血管が走行しています。がんがどの程度まで拡がっているかにより、これらの臓器を一緒に切除しなければなりません。また,胆管とその周囲のリンパ節を含んだ結合組織もまとめて切りとるのが大切です。このため、がんができた部位により手術方法が変わってきます。

(1)肝門部・上部胆管がん
「肝外胆管切除+肝切除術」
肝門部、上部胆管にできたがんは肝臓方向に進行することが多いため、肝外胆管の切除に加え肝臓の切除が必要です。(肝臓の左右どちらか半分または中央を切除する)

(2)中部胆管がん
「肝外胆管切除術」
中部胆管がんの場合は、肝外胆管(胆嚢を含む)のみをとり除いて済む場合がありますが稀です。多くの場合、肝臓側か膵臓側のどちらかに進展しています。

(3)下部胆管がん
「膵頭十二指腸切除術」
下部胆管は膵臓内を走行しているため、下部胆管がんでは肝外胆管切除に加え、膵頭部、十二指腸、胆嚢、胃の一部を切除する必要があります。

(4)肝門部~下部胆管までがんが浸潤する場合
「肝切除術+膵頭十二指腸切除術」
がんの浸潤範囲が肝門部から下部胆管まで拡がる場合、肝臓・膵臓両方を同時に切除する必要があります。
胆管がんに対する手術では、いずれの場合も規模が大きくなり、肝臓や膵臓などの生命に極めて重要な臓器に直接操作が加わるため、術後合併症や手術死亡は他の臓器に比べ依然高率なのが現状です。合併症には、出血、縫合不全(胆汁漏、膵液漏)、腹腔内膿瘍、胆管炎、胆管狭窄、膵炎、肝不全、肺炎、血栓症などがあります。

8.胆石症

胆石とは、肝臓でつくられた胆汁を十二指腸に流す胆管と、その途中に枝分かれして胆汁を一時的に貯留・濃縮する働きをしている胆嚢にできる石の総称です。胆管にできるものを総胆管結石、胆嚢にできるものを胆嚢結石といいます。 胆嚢結石で腹痛などの症状がある場合は治療が必要です。治療は手術による胆嚢摘出術が基本となりますが、石の種類、場所、胆嚢炎の有無、総胆管結石の合併の有無などによって、適切な治療の方法、タイミングなどが異なります。 当院では、胆石症の診断に3D MRCPAを用いています。3D MRCPAは、造影剤を 用いることなく低侵襲で安全に胆管・胆嚢のみならずその周囲の血管までも同時に3D描出可能な優れた検査方法です。これを術前診断や術中ナビゲーションに応用することで、手術の安全性を向上させています。

3D MRCPAのイメージ画像

手術はお腹を大きく開腹することなく、5㎜から15㎜程度の小さな穴をいくつか開けて手術をする腹腔鏡下手術が基本です。最近では、穴の大きさをより小さくしたり、穴の数を減らしたりしてさらなる整容性の向上に努めています。
総胆管結石の場合は、まず内視鏡による石の摘出を試みます(内視鏡的逆行性膵胆管造影:ERCP)。症例によっては手術が必要になることもあります。

9.虫垂炎

一般にはよく「盲腸」と呼ばれますが、実際には盲腸の先にある虫垂という臓器の炎症で「急性虫垂炎」が正式な病名です。
虫垂炎の治療は、炎症の程度によって、薬による治療のみでよい場合と手術が必要になる場合があります。
手術は開腹手術が基本ですが、当院では症例によって開腹せず小さな穴を開けて手術をする腹腔鏡下手術も行います。おへその穴を利用する単孔式腹腔鏡下虫垂切除術では、傷痕をほとんど残さず手術可能です。